トクトク、ゴクゴク......。汗ばむ季節になると、私の1日は、この音から始まります。いえ、ビールではありません。飲んでいるのはトマトジュースです。
朝、起きぬけに冷蔵庫からジュースの瓶を取り出し、グラスに注いで、まず一杯。甘酸っぱい果汁が、喉をひんやりと潤していくにつれて、体がすっきりとしてくる感覚が心地よいのです。まだ目覚めきっていない脳に「起きろ」と、スイッチを入れるパワードリンクでもあります。
お行儀は悪いけれど、思わず「プハー、おいしい!」と口にしてしまうのは、ビールを一気飲みしたときの満足感に似ているからかもしれません。
けれど、同じようにトマトジュースを飲む夫は、「プハー」とは言いません。彼は、トマトジュースは常温派。一気飲みもしません。その理由は、常温でゆっくり飲むほうが、果汁の旨みがちゃんと味わえるから。確かに健菜トマトジュースの濃厚で深い味を堪能したいなら、彼の飲み方の方が理に適っているかもしれません。
とはいえ、私、「冷たいジュースの一気飲み」派から転向する気はありません。朝イチのプハーは最高ですから。
最近、雑貨店で球形の氷ができる製氷皿を見つけました。思い出したのは、昔、上品なバーで、アイスピックで削った球形の氷(アイスボール)入りの、おしゃれなカクテルをいただだいた時のこと。バーテンダー氏が言うには、球形の氷は溶けにくく、お酒の味を損なわないのだとか。ということは、トマトジュースにぴったりではないですか。
今、我が家の冷蔵庫ではアイスボールができつつあります。家庭で作る氷だから、透明度や溶けにくさに限界はあるけれど、気分は上がります。明日は、ウイスキーグラスで、氷で程よく冷えたトマトジュースを飲むつもり。カラカラという氷がグラスにぶつかる音が加わって、トクトク、カラカラ、グビグビというオノマトペ(擬音)のセットが、夏の朝の定番になるかもしれません。
(神尾あんず)
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