ピアノの先生から「レッスンを2週間、お休みさせていただきます」というメールが送られてきました。「もしや」と思っているとお詫びと説明の電話があり、やはり家族で新型コロナ感染症の濃厚接触者になってしまったとのこと。
最初の感染者は息子さんで、無症状だそうです。高熱を出しているお嬢さんは自宅療養。先生は陰性ですが、もちろん外出はできません。自宅で、感染者と非感染者を分けて生活するのは、さぞや不自由なことでしょう。
何かエールを送る方法はないかしら...。そして、閃きました。「ここは、りんごジュースの出番では?」と。
というわけで、常備している健菜のあかねりんごジュースと、隣り駅の行列ができるパン屋さんの焼きたてパンを、自転車で届けました。ただし、玄関先に袋を置いて直帰。帰宅後に「私のイチオシをデリバリーしました!」と、メールで知らせました。
ところで熱が出ると、りんごジュースが飲みたくなるのは私だけでしょうか。私の場合は、幼い頃の記憶による影響大。風邪で寝ていると、母はりんごをすりおろしてガーゼで絞ったジュースをつくってくれました。背中を抱えられながらジュースを飲むのは、病人の特権。甘い思い出です。それで今も、熱が高くなると心がりんごジュースを欲するのかもしれません。
さて、その後、再開されたレッスン初日、課題曲の演奏にマルはもらえませんでしたが、りんごジュースについては感謝と、「おいしい!」という褒め言葉をたくさんいただきました。無症状の息子さんがごくごく飲んで、瞬く間になくなってしまったと、先生は嘆いていましたが......。ともあれ、ご家族全員が大事なく過ぎ、そして、差し入れを歓迎してもらえて何よりでした。
私は甘いだけでなく、甘酸っぱいりんごが好き。あかねりんごジュースは、こっくり甘いのに、酸っぱさが効いていて、舌に残る味もいい感じ。夕陽を思わせる「あかね」という品種名も、果汁の色も私の好みにぴったりです。
じつは、先生に差し入れたのはストックの最後。自分のために、早く補充しなければ......。
(神尾あんず)
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