ラー油を漢字で書くと「辣油」。「辣」は「辛みが束になっているほどの刺激」だけでなく、「つらい、きびしい」といった字義もあり、調味料の名前としては強烈です。実際、「辣油が効いている」と人気の四川料理店の麻婆豆腐は、辛さのあまり身体が痺れるほどでした。
でもラー油は使い方次第。健菜のラー油のちょこっと使いを覚えてから、私はよく「からいはうまい」(by椎名誠の書籍名)という言葉を思い出しています。
餃子を食べるために、どの家庭もラー油を常備しているはず。でも、使い切れずにいつまでも残っていませんか。わが家はその典型でした。ところが......。
「ここはラー油でいっちゃお!」
きんぴらを作っている時、行方不明だった鷹の爪の代わりに投入してみたら、なかなかの仕上がり。しかも、器に盛ってから、簡単に「追いラー油」ができるではありませんか。なぜ、こんな使い方をしてこなかったのか、我ながら不思議。ラー油の使い勝手の良さに開眼しました。
以来、その出番は増える一方です。例えば、冷や奴にたらり、玉子かけご飯には二滴、野菜炒めの仕上げ、ドライカレーの辛みアップ等々、ラー油がよい仕事をしてくれる料理は限りがありません。暑い盛りのそうめんつゆにもラー油はぴったり。「辛い!」とピリッとするぐらいのほうが、身体が喜ぶように思えます。
健菜のラー油は玉締め一番搾りの胡麻油が原材料。香ばしさが抜群です。そこに唐辛子だけでなく、何種類も香辛料を手作業で溶かしているそうなので、味は奥深く、辛さはマイルド。だから料理にコクが加わるのでしょう。「からいはうまい」と感じるのも腑に落ちます。
最近、ラー油を使う量が増えています。ラー油に含まれるカプサイシンは新陳代謝を高める作用があり、健康にもよいようです。このまま辛さに強くなると、ギブアップした四川料理店の麻婆豆腐も制覇できるかしら。いやいや、もはや、若い頃のようにムキになって激辛に挑戦する必要はありません。ほどほどの辛さで十分。辣油ではなくマイルドなラー油で大満足です。
(神尾あんず)
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