純米料理酒

専用の理由

 とある夜、友人たちと割烹のカウンターで日本酒談義をしていると、「それはダメですよ」と口を挟んできたのは、顔なじみの板長さん。いつもは寡黙な人なのに、この時は黙っていられなかったのでしょう。

大吟醸に魅力なし

板長さんがダメ出しをしたのは「飲み残した大吟醸酒は料理に使っちゃう」という友人のひと言。ダメなのは、もったいないからではありません。大吟醸や吟醸は精米歩合が60%以下、つまり、米の表面を大きく削っている分、栄養素や旨み成分が失われているからとのこと。肉や魚介の軟化や臭み消しには役立つものの、旨みや香りを豊かにする調味料としての魅力はほとんどないそうです。
「母親から料理には安酒がいいと教わったわ」
 言い出したのは別の友人です。ところが、板長さんはこれにも「う〜ん」と渋い反応。
「最近は料理専用の酒がいろいろありますよね。玉石混交だけど、ちゃんと選べば、いいものがありますよ」と。
 それ、私にも分かります。それでつい、わが家の料理酒の解説、すなわち健菜のパンフレットの受け売りを語ってしまいました。
「料理酒の要は酒米の質ね。旨み成分を高めるように丁寧に醸造されたもので......」と始まった私の説明が熱すぎたのでしょう。友人たちはちょっと引き気味でした。

おいしさに太鼓判

 さて、わが家では、日々、健菜の純米料理酒が活躍しています。煮物もさることながら、アサリやカキ、白身魚の酒蒸しなどを作ると、おいしさは太鼓判もの。ふっくらやわらかく仕上がって、コクが増すと感じます。鍋が増えるこれからの季節はさらに出番が増えるはず。
 ところでその後、大吟醸云々の発言をした友人宅の酒宴に参加したら、「あなたが言っていた料理酒を使ったわよ」とタイのお頭の酒蒸しが登場。迫力満点でとてもおいしかったです。
(神尾あんず)


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