午後3時を過ぎたら、コーヒーや緑茶は絶対に飲まないという友人がいます。不眠に悩んでいる彼女は、紅茶もだめ。はじめて彼女がわが家のご飯会に来たときは、食後の一服に困りました。
すると、彼女が「緑茶をいただけますか。琺瑯のなべを貸してください」と言うのです。そしてレンジの前に立つと、一掴みの緑茶をからからと炒り始めました。
なるほど、ほうじ茶という手がありました。
ほどなくして、ほんのりとこげたような芳ばしい香りが、リビングに広がってきました。とても懐かしい香りです。
「昔はお茶屋さんの前を通ると、この匂いがしていたね」
「高温で焙煎するから、カフェインが飛ばされるのよ」
そんな会話がはずんで、その日は皆でほうじ茶をいただきました。
以来、ほうじ茶を見直す機会が増えました。
例えば、煎茶とほうじ茶を使い分けてくれる和食店。お料理の最中に、ほうじ茶を出してくれると「ていねいだな」と感じます。ほうじ茶のほうが料理の味を邪魔せず、口の中がさっぱりとしますから...。
今では、健菜のほうじ茶を買い置きしています。
手製のほうじ茶とは味のよさが段違い。砂炒り法といって、焼き芋と同じ原理で炒ってあるお茶は香りがよく、甘みも申し分ありません。
わたしは家人が寝静まった深夜、テーブルいっぱいに新聞を広げて読む、ひとりの時間が大好き。その時は、大きな湯のみに熱々のほうじ茶を注いで、ゆっくりといただきます。眠る前に、ふっくらとしておだやかな一杯を味わう至福の時間です。
ところで、ほうじ茶は、刺激物を控えなければいけない妊婦さんにもぴったり。出産後の仕事仲間が「おいしいので、健菜ほうじ茶ばかり飲んでいました」と言っています。
それを聞いていた女性たちからは、「ほうじ茶プリンをつくります」とか、「クッキーに入れても」という発言が飛び出してびっくり。楽しみ方もいろいろあるようです。
(神尾あんず)
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