「健菜みりんを作っている酒蔵に行ってきたわよ」
少し前のことですが、そんな電話をかけてきたのは、栄養士の友人です。
彼女とは、健菜みりんが発売され始めたころ、「紹介文に書いてあるけど、ほんとうに食前酒として飲めるのか」と試した仲。わたしは酒の味見に自信はありませんが、彼女はいける口。それが「なるほど、リキュールみたい」と感心したのです。
好奇心旺盛の彼女は、そのときから、奈良にある醸造元を訪ねたいと思っていたのでしょう。
「で、どうだったの?」とわたし。
「どうやら、最初はあまりにも贅沢な作り方を提案されて、びっくりしたみたい。でも、『あれは大吟醸酒と同じです』と、自慢げだった」
なるほど、健菜みりんは大吟醸酒だったのね。
わたしが、調味料の選び方一つで、料理の味が変わることを体験したのは、健菜みりんが最初でした。それまで、合成の「みりん風調味料」を避け、「本みりん」を選んでいたのに、糖類を混ぜて促成熟成したものまで「本みりん」と表示されていると知ったのも、このときです。
健菜みりんは、永田農法で栽培したもち米と米麹を原料に、伝統製法を守り、時間をかけて発酵・熟成をさせています。その間に、ゆっくりと自然な甘みと旨みが生み出されていく。だから、熟成した紹興酒のように、香りがいいのでしょう。
以前は、煮物といえば、お酒プラス砂糖(もしくははちみつ)だったのですが、健菜みりんをつかうとちがった味が引き出せる。上品でまろやかな味に仕上がる魅力にはまりました。
もう、煮魚に砂糖はつかいません。出汁との相性も抜群で、わが家のけんちん汁のおいしいこと!(手前味噌とはいえ)。
そのみりんを、最も消費するのは年末年始。お節料理の準備に欠かせないのですが、年末ギリギリで「足りない」と気づくことも...。元旦のお屠蘇は、健菜のプレゼントである屠蘇酸を、健菜みりん&焼酎に入れていただくのが、恒例です。けれど昨年は、肝心のみりんを確保し損ないました。
健菜さん、みりんの大瓶、つくってくれないかしら。冒頭の友人は、氷砂糖を使わず、みりんだけで梅酒をつくってみたいそうですから、ニーズはあると思うのですが...。
(神尾あんず)
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