健菜倶楽部の野菜箱から、玉状のこんにゃくが現れたのは5年前のこと。「なぜ?」といぶかりつつ、同梱の手紙を読むと、試作中なので「ご試食を」と記されていました。
「こんにゃくとは渋い!」
まず、思ったのがこれ。それから健菜通信の記事で、こんにゃくの製法を初めて知りました。
芋の産地や栽培法、製法と、本物にこだわるいつもの健菜流が徹底しています。試食をしてみると、脱帽...というのは大げさかな。
そもそも、なぜ、健菜は名前に「生芋」と付けたのでしょうか。それは、一般のこんにゃくの原料は、こんにゃく芋の粉だから...。それを練らずに固まらせてしまう。すると真っ白く仕上がるので、ヒジキなどを混ぜて、わざわざ「こんにゃくらしさ」を装っているのだそうです。
味がなく、ゴムみたいな食感や、いやな臭いのものがあるのは、そのせいかもしれません。きっと、それが、わたしが、特別に食べたいと思ったことがなかった理由です。
一方、健菜は、こんにゃく芋を皮ごと粉砕し、空気をたっぷり含ませながら練り上げていくので、出来上がったこんにゃくに気泡がたくさんできます。おかげで、食感がよくて、味浸みがよくなるのです。もちろん味は芋そのものの質がものをいいますから、そこは真剣に栽培法に向き合う健菜の真骨頂。すると、おいしくなるのは当然のことかもしれません。
それから、しばらくして、健菜を食べている仕事仲間と、こんにゃくの話題になりました。
「あれはよかったね。食感も味しみも抜群。あんなの滅多にないよ」と、もともとこんにゃくが大好きだという彼女は、健菜生芋玉こんにゃくを熱烈支持。その熱気が伝染し、わたしもいろいろ料理してみる気になりました。煮物はもちろん、中華風でもいいし、和え物、きんぴら、ステーキ、刺身もいけると、今では、面白いようにレパートリーが広がっています。
ところで先日、友人たちとおでん談義になりました。やがて、「最後に残るたねは何か」という話題に...。
そして、気づきました。わが家では、昔は必ず鍋の底に、こんにゃくが残っていたのに、最近はちがうこと。こんにゃくは早々になくなっています。知らないうちに、わたしと家族は、こんにゃく好きの仲間入りをしたようです。 (神尾あんず)
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