健菜倶楽部からアグーを入手できるようになってから、4〜5年になるでしょうか。それ以前から、渋い雑誌で、消滅の危機から救われた島豚アグー復活にまつわる記事を読み、気になっていた豚肉。
初めて口にしたときは、苦手なはずの脂身がするすると口に入り、ちょっとおどろきました。やわらかくて、旨みが高く、脂身まで「おいしい」と思ったのは初めての体験。
最近は、豚肉のブランドもいろいろ目にしますが、「これはちがう」と瞬時に思える肉は、滅多にありません。アグーは、滅多にないほうの代表でしょう。
でも那覇を旅行して、焼き肉を食べたときには、「あれ? フツーだ」と少しがっかりしました。そのときは入った店がハズレだったのだと思いましたが、後から、原因はそれだけでないことを知ったのです。
じつは沖縄のブランド豚には「アグー」と「あぐー」があるのです。カタカナの「アグー」は幻といわれた在来種。一方、那覇で食べたのは、ひらがなの「あぐー」で、外来種との交配種です。
在来のアグーは体重が100キロ程度(外来種は200〜300キロ)と小さく、養豚業としては効率が悪すぎます。そこで、交配種をひらがな書きして、ブランド化。
今では、ひらがなの「あぐー」も、おいしい豚肉として認知されていますが、豚肉好きに言わせると、カタカナのアグーのほうが数段上。香りが圧倒的に違うそうです。
健菜倶楽部がおつき合いしている牧場は、在来種にこだわりアグーを飼育しているのでしょう。写真を見ると、真っ黒い親豚たちが広い草原を走りまわっています。
カタカナのアグーの欠点は、知名度が高いわりには、量が少なくて、一般にあまり出回らないこと。それが毎月届くのは、健菜ならではの贅沢だと思います。
そのアグーのおかげで、わが家の食卓は少し変化。牛肉料理が減って、豚肉の料理が増えました。とくに食卓によく登場するのが、豚のしゃぶしゃぶです。以前は豚しゃぶなんて、おいしいと思えなかったのに......。でもポン酢でさっぱりと食べると、アグーの香りのよさや旨みが際立ち、大好物になりました。
人が集まるときには、ローストポークを作ります。オーブンで芳ばしく焼き上げ、特製のタレに1時間ほど漬けるだけの簡単料理ですが、毎回、好評です。
先日は、手間をかけて角煮に挑戦。遊びに来た友人から「これはお店に出せる」とまで褒められました。
「腕じゃなくて肉がいいから」と応えたわたし。謙遜ではなく事実です。
「まだ知らないなら、アグーは試すべし」と、料理好きの友だちにもすすめています。
(神尾あんず)
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