健菜トマトジュース 今年のヌーボーはま〜だかな

「トマトジュースはないの」
 夜、帰宅した夫が、冷蔵庫をのぞき込んでいます。夕飯は会議をしながら弁当で済ませたそうですが、満足感がないのか、あるいは野菜が足りないと体が訴えているのでしょう。
「ごめん、切らしている」と 私。「ふ〜ん」と不満そうに言いながら、ミネラルウオーターを取り出した夫は、「こういう時は、トマトジュースがいいのになあ。先週もなかったのに...」とつぶやいています。あきらめが悪いなあ。今は無理なの。
「8月にはヌーボーが出るから、もうちょっと待って」と私。
「そうか、そんな時期か」と、夫も納得したようです。

2012年ものはどんな味?

 わが家の場合、「ヌーボー」といったらボジョレーではなく、健菜ジュースの新搾りのこと。トマトやぶどう、にんじんなど、健菜倶楽部のジュースは、決められた生産者の決められた農園のものと限定されている上、その原材料の品質が最も高い「旬」の時期にだけ作ると決まっています。
 トマトの場合、健菜ジュースにするのは、特別に栽培しているトマトの中でも10%程度しか穫れない特選品だといいます。
 そのトマトが収穫できるのは、1年のうち、1〜2週間程度に限られています。収穫した日にそのまま搾るので、短い旬の期間が終われば、もう健菜トマトジュースは作れません。 ですから、売り切れご免。そのために、ストックを切らしてうっかりしていると、手に入らないことが時々あるのです。
 でもそれは、ヌーボーを待つ楽しみにつながっているように思います。
 健菜トマトジュースとの付き合いが15年以上になるわが家では、「去年より甘みが尖っている」とか「酸味が...」などと、年ごとに微妙に味わいが違うことが、食卓の話題に上ります。
 ちなみに昨年の健菜トマトジュースは秀逸でした。酸味が落ち着いて、味のバランスがよく、さらに時間が経って冬になると、まろやかな旨みが際立ってきました。もともと、びっくりするほどおいしいトマトジュースでしたが、それが年々進化しているようです。今年はどんな味になるのでしょう。

飲むだけでなく料理にも

 よいトマトが手に入らない時に、健菜トマトジュースを使ってラタトゥイユを作ってみたら、味のよさに病みつきになりました。夏はガスパチョスープもジュースで作ります。ジューサーに頼らず、きゅうりや玉ねぎのみじん切りを混ぜて、冷蔵庫で冷やして完成。暑い時でも食が進みます。
 でも、やっぱりこのジュースはそのまま飲むのが一番。ごくごく飲むと、体がきりっとして清々しくなってきます。この原稿を書いていたら、無性にトマトジュースが飲みたくなってきました。早く、販売が再開されますように!

(ライター 神尾あんず)


新着エントリー

  • 絶景農園育ち 最おくての蜜柑は初夏の味

    河内晩柑は、数ある晩生種の中でも最終ランナーだ。 蜜柑だが初夏の味。八代海を望む農園に生産者を訪ね...

    健菜通信:今月の特集 | 2024年05月
  • 健菜たまごのマヨネーズ

     テレビをつけたら、タレントさんが何かを食べながら「メチャメチャおいしい」と言っている場面。食べ物...

    健菜スタイル | 2024年05月
  • 「にがり」が要の玉ねぎ栽培

    昨年の3月、有明海に面した干拓地に玉ねぎ生産者を訪ねた。 おいしさの秘訣は「にがり」。でも、それだけ...

    健菜通信:今月の特集 | 2024年04月
  • 多品種栽培も視野に

     長崎の野菜農家には厳しい春になりました。暖冬で雨が多く、計画通りの生産ができなかった上、価格が暴落...

    土かぜ日記 | 2024年04月
ページの先頭へ