柿漬たくわん

ポリポリ、パリパリ

 日本語ほどオノマトペ(擬音・擬態語)が豊富な言語は、他にないそうです。中でも食に関する表現は群を抜いて多いのだとか。きっと、日本人の食に対する飽くなき情熱の表れでしょうね。ホカホカ、モチモチ、サクサク、トロリ......。これだけでおいしそうな食べ物が、あれこれと思い浮かびませんか。

おいしい食感

 そんな雑談を職場で交わしながら、私の頭の中をよぎったのは
「ポリポリ」というオノマトペ。健菜の柿漬たくわんをポリポリと食べつつ、「ああ、幸せ〜」としみじみ感じた夕食のことを思い出していました。
 じつは、昨年、経験したことのない歯痛に苦しみました。漫画に、頬がぷっとふくれて涙すら浮かべる歯痛の表現がありますが、鏡に映った自分の顔はまさにそれ。3日間、食べ物を噛むことができず、体重も減る始末。結局、歯を1本抜き、さらに治療が必要な箇所(7カ所も!)が発見され、せっせと歯医者に通ったのでした。
 それだけに、たくわんを躊躇うことなく口にできる食事のうれしかったこと。熱々のご飯を一口。それからたくわんポリポリ。また、ご飯を口に......。これを幸せと言わずになんと言いましょう。日本人だから味わえる醍醐味かも。
 じつは歯が悪い知人に、健菜の柿漬たくわんをお裾わけしたことがあります。他では手に入らないし、独特の風味があり、私は「絶品よ」と自慢げに手渡したのですが、彼女が固いものを噛めないことを思い出した時は後の祭りでした。彼女はどうしたかしら。ポリポリと噛めなくても、刻んだり、隠し包丁を入れて、あのおいしさ、堪能してくれたものと思いたいです。

表現は違えど

 ところで、オノマトペの会話の続きです。
 「ポリポリ」と聞くと、同僚が思い浮かべるのは煎餅やピーナッツだと言います。そして「たくわんはパリパリでしょ!」と断言されてしまいました。えー、世間一般はそうなんですか?
 でも、ポリポリにせよ、パリパリと食べるにせよ、おいしいそうなことに変わりはありません。注文した柿漬たくわんが届くのが待ち遠しいです。
(神尾あんず)

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