宮家献上品の、伝統品種

福島県会津若松市御山地区、山浦啓治氏が栽培した「身不知（みしらず）柿」をご案内します。山浦氏の農園は、雪深い会津若松市の丘陵地帯にあり、西陽が良くあたる南西傾斜地に広がります。赤土の粘土質土壌と、昼夜の寒暖差など、柿栽培に最適の条件が揃っています。

身不知柿の名前の由来は「細い枝にもかかわらず、身のほど知らずにたわわになるため」とか「身のほど知らずに食べて過ぎてしまうほど美味しいから」などと諸説あります。御山地区の身不知柿は、毎年宮家に献上されていることから、後者の説が正しいのかも知れません。収穫期が遅いため、あまり市場に出回らず栽培農家も減少している柿ですが、糖度が高く緻密でねっとりとした果肉から、知る人ぞ知る高級品種でもあります。

柿の美味しさは、樹齢にも左右されると言いますが、山浦農園の柿の木は、若くて50年、古い木は200年にもなります。霜が2回降りるまで樹上で完熟させ、果実を観察しながら5～6回にも分けて収穫するため、熟度の誤差が少ないことも山浦氏ならでは。焼酎で渋を抜くため、輪紋という白い跡が残ることがありますが、品質の証でもあります。