健菜誕生物語/健菜ベジタブルチキン

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健菜ベジタブルチキンは、福島県相馬郡の人里離れた養鶏場で育つ。
鹿狼山のふもとにあるその鶏舎を、イノシシやキツネなどの野生動物の襲撃から守るのは、養鶏家・阿部忠さんが飼う雄々しい猟犬たちだ。
「鹿狼山という名前の通り、かつてはオオカミもたくさんいた場所だからね」と話す阿部さんは、クマ撃ち名人でもある。

彼に、ベジタブルチキンの飼育を依頼したのにはいくつもの理由がある。鶏舎を囲む豊かな自然環境もその一つだった。ニワトリは暑さに弱い。夏も冷涼なこの地なら、開放的にたっぷりと運動させ、逞しく育てることができる。実際に健菜鶏を近くで見ると、すこぶる活発で野性味があり、近づくのが怖いほどだ。

ゆっくりと育てる

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※生産者:阿部忠さん

鶏肉をほめるのに「昔のかしわの味がする」という言葉がある。私たちが、1993年の健菜倶楽部発足後間もなく、ベジタブルチキンの試験飼育を始めるのに、まず念頭にあったのは、この言葉だった。
飼育に先立って、様々な養鶏場や畜産試験場を訪ねると、なぜ、昔のおいしさが失われてしまったのかが分かってきた。

密閉された鶏舎で、身動きできず、魚粉などの動物性たんぱく質や、牛脂粉末入りのエサを食べて、どんどん太っていくブロイラーたち・・・。ニワトリは80日以上飼わないと味がのらないというのに、50日程度で出荷される。「最近のチキンは肉に締まりがなくて水っぽいね」と言われるのも道理だった。

では、どうしたら昔の記憶が甦るだけでなく、誰しもが「旨い!」と思えるチキンを育てることができるのだろうか。

まず、エサは完全菜食と決めていた。可能な限り健菜米の米ぬかなどを使い、不足は安全性が確かな飼料を利用する。一般の飼料は最初から抗生物質や動物性たんぱく質が混入されている。これらを抜いて、カルシウムなどの栄養を補い、そして永田農法で栽培した緑茶(カテキンの作用に期待)やブロッコリーパウダー(ビタミンCが豊富)の粉末を加える特別飼料が作られた。

ニワトリの種類はフランス原産の赤毛鶏に決めた。肉質の高さで定評がある鶏種だ。阿部さんとは、飼育方法が話し合われた。

野菜と同じように効率を追わずに、「ゆっくり」と育てることや、果物と同じように「完熟」を待つこと。ニワトリを無理やり太らせるのではなく、のびやかに健やかに成長させていく。たとえ効率が悪くても、食べごろが来るのを待つ、つまりは通常の食肉鶏(ブロイラー)より1ヶ月からそれ以上の長い日数をかけて育てていくことなどだ。

脂肪分さえべとつかない

その約4ヵ月後、食肉加工された最初の健菜ベジタブルチキンが東京に届いた。モモも手羽も大きくて立派なチキンは、脂肪分が少なくて、いやな臭みが全くなかった。驚くことに、手についた脂肪がべたつかずにさらりとしていた。食べる前から、緑茶に含まれるカテキンがニワトリの体質改善に効果をもたらしたのだと分かる。
さて、焼いて試食すると、パサつかず、肉に弾力があり、そして味が濃い。

「大丈夫、これならお客様にも喜んでいただける」との確信とともに、健菜ベジタブルチキンの本格飼育が決まった。

その後、鳥インフルエンザに対処するため、野鳥などの影響を受けないよう、鶏舎の周囲に厳重な網を張り、慎重な飼育配慮が重ねられている。しかし、のびのびと飼育するという基本は、ずっと変わらない。

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