STORY
健菜誕生物語/フランス産海塩、ノアムーティエの塩
「フランスの大西洋岸に素晴らしい塩田がある」とフランス料理海に精通する人物がもらした言葉から、私たちは「フランス産天然海塩・ノアムーティエの塩」の存在を知った。アランデュカスをはじめとする名料理人が、この塩を好んで使っているというのだ。
早速、その塩を取り寄せて、試食してみると・・・・なるほど旨い。塩辛いだけでなく、しっとりと湿り気を含んでいて、微かな苦味や甘みが感じられえる。吸い物で味を比べると、食塩との差が歴然としていた。旨みがまったく違うのだ。
本物の塩を探し求めて
当時(1997年)は、塩の専売制度が廃止されたばかり。それまで塩をいえば、日本専売公社(旧)がイオン膜交換方式で製造している食塩=高純度塩化ナトリウムを指していた。化学塩と呼ぶ人さえいる塩だ。
自然塩は、自家用や神事用にごく微量が製造されているだけ。それでも健菜倶楽部では、創設当初から海水を煮詰めて製塩した国産の自然塩を探し出し、紹介していた。
しかしフランスから資料を取寄せて検討を始め、現地に足を運んだ代理人からの報告を受け、塩の全体像がわかってくると「ノアムーティエの塩こそ健菜倶楽部で紹介したい」との思いが高まっていった。
復活した伝統製法
ノアムーティエは48平方キロメートル足らずの小さな島だ。本土とは1キロの橋で繋がれているが、島の自然環境を守るために、自動車の乗り入れは厳しく制限されている。海では牡蠣が養殖され、養蜂家が野にハチを放し、そして海岸線に沿って塩田が一面に広がっている。
この島では古代から塩が製造され、19世紀初頭には、世界で最も広い塩田が存在していたという。コスト優先の廉価な塩に押されて、塩作りが衰退していた時期もあるのだが、1980年代に、とある企業家が職人をまとめて組合を作り、伝統製法を守ることで、ノアムーティエの塩の名声を復活させたのだった。
その製法はいたってシンプルだ。
満潮の時に貯水池に流入した海水を、複雑な水路をめぐらせ数日間かけてゆっくりと水分を蒸発させていく。濃縮した海水は最後は結晶池に集められる。この池で中世と全く同じ木のへらを使ってノアムーティエの塩を集められていく。
塩作りができるのは6月から9月までの暖かい季節に限られる。それでも島の気候は冷涼で、しかも曇天が多いから、水分の蒸発に時間がかかる。でもその時間が長ければ長いほど、塩の含むオリゴエレメント(ミネラル=生命に欠かせない微量元素)が豊富となる。
そのオリゴエレメントの豊かさとバランスが、ノアムーティエの塩独特の芳香のもととなっていた。
加工品のうまさを支える

「ノアムーティエの塩」のご案内を始めるのと同時に、健菜倶楽部では、この塩を使った加工食品の開発を始めた。贅沢な選択だった。
生産者たちも当初は、食塩との違いに戸惑い調整に苦労をしたが、しかし、品質の差は歴然としていた。
この塩を使うと梅干しはまろやかな味に仕上がる。野菜の漬物は、オリゴエレメントの効果で歯ごたえがよくなるだけでなく、旨みのもととなる乳酸菌が活発になる。味噌、醤油、魚介の干物も旨みが違う。
今では、ノアムーティエの塩は、健菜倶楽部の食卓を支える見えない大きな大黒柱になっている。
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