収穫を前に台風が襲来。すると
畦道は、栽培法の違いが分かる境界線になった。
生命力が強い稲は倒れない。堂々と完熟していく。
空が日毎に高くなり、稲は黄金色を増していく。
登熟の季だ。籾の中にぐんぐん養分が蓄えられ、
米が力強く、そしておいしくなっていく。
田の土から出たヤゴは、トンボになって空へ飛び立つ。
青田に残されるのは小さな抜け殻だけ。...けれど
トンボはやがてここに還ってくる。そして子孫を田に託す。
ブナ林の土はふかふかとして、水をたっぷり溜めている。
100年前の雪解け水も、昨日の雨水も......。
それは湧き水となって、下界の田を潤していく。
風を受け、早苗がふくよかにそよぐ。
水上の姿は儚げだ。でも地中の根はたくましい。
土塊をつかみ、ぐんぐん伸びる力を我が物にしている。
雪解けと競うように、小さな芽が土を割って姿を見せる。
芽は、はじけるようにぐんぐん伸びる。
ぜんまいの旬は1日。山菜狩りは慌ただしい。