耕起後に水が張られ、田んぼは冬支度を終えた。
さて、田水が凍るのが先か、雪が先か。
日は短くなるが、冴える光は美しさを増していく。
小さな棚田で働くのは、小さなコンバイン。
コトコトと収穫・脱穀・選別を一気にこなす。
人も機械も、町で最後の刈り入れに精を出す
万物は木火土金水の5元素からなるとされる「五行説」。
輝く金は収穫の季節・秋の象徴だ。秋の風は金風と呼ぶ。
さわさわと金風にゆれる棚田も光り輝く。
籾の中身は米のミルク。とろりと甘い。
やがて、葉の光合成でつくられた養分が登熟をもたらす。
ミルクが固まり、穂が垂れる。黄金の季節がやってくる。
ブナの森から湧き出して、里へと下る名水は、
杜氏にとっては仕込みの水。美酒づくりには欠かせない。
稲にとっては命の源。名水がうまい米を育てる。
のりめんは棚田の間の急斜面。歩くことさえ難しい。
早春は山菜の宝庫だが、今は、雑草と人との戦場だ。
病害虫や害獣を防ぐには、負けられないと草を刈る。
山里の春は一進一退。けれど、土はぐんぐん温まって
草が萌え出し花も咲く。今日はかたくりを摘んでお浸しに。
季の贅沢、春の息吹の味がする。
友待つ雪は、次の降雪まで溶けない健気な雪。
屋根から落ちる雪は、しずり雪。
雪の名は美しい。
雪化粧というには厚すぎる雪は、何と呼ぼうか。