たまごの常識・新常識

素材としての力は無限大。その力、見直してみませんか?

あれもこれも 優等生

 物価の優等生といわれる卵。経済性だけでなく、衛生や栄養面でも卵は優等生だ。日本人は、1人年間333個の卵を食べるほど卵が好き。その消費量は世界第2位だ。
 その背景には、卵かけご飯が心おきなく味わえるほど、卵が安全なことがある。海外では生卵を食べない。それは食文化の違いだけでなく、生卵にはサルモネラ菌の危険があると考えられているからだ。日本の場合は衛生管理が徹底した養鶏所で産み落とされた卵が、すぐに洗浄されて出荷される。健菜たまごのように新鮮なまま届く仕組みが、その安心感を支え、高めている。

1日1個? それは誤解

 卵はタンパク質の塊だ。しかも人間が体内でつくることができない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含む理想的な構成。タンパク質の品質指標「アミノ酸スコア」は満点の100。全食品のトップだ。非必須アミノ酸やビタミン類、カルシウムなどのミネラルも豊富で、免疫機能を高めたり、疲労回復や美肌効果があることも分かってきた。
 さらに、神経伝達物質の原料となるレシチンという成分があることも注目されていて、卵が認知症予防に役立つと期待されている。
 「コレステロールが増えるので卵は1日1個に」と、かつては言われていた。しかし、これは今では否定されている。
 そもそもコレステロールは体にとって欠かせない成分。体内でも合成できるが、肝機能が低下すると食べ物で補う必要があり、高齢者ほど、積極的に卵を食べたほうがよい、というのが最近の常識。1日2個程度を目安にするのがおすすめだ。

おいしさも長もち

 パッケージの賞味期限表示は、「生でおいしく食べられる期間」を示している。そうとは知らず、期限切れを捨てていないだろうか。加熱すれば十分おいしいのに......。殻付きの卵は、かなり長く保存がきく。ただし、ヒビがあったら傷みやすい。すぐに食べること。
 保存は、強度が高い尖った方を下に。冷蔵庫は、振動や温度差に見舞われるドアポケットより、棚に収めたほうが鮮度落ちは少ない。とはいえ、ゆで卵や洋菓子などは、採れたてより、少し古い卵の方が上手にできる。つまり卵は何もかもが優等生。その価値を見直したい。

母鶏の健康を土台にした 健菜たまご「ベジタブルエッグ」

 故・永田照喜治氏と高知県の養鶏家・佐々木貞壽さんが「本物のおいしさ」を追求して、生み出したのが健菜たまごだ。その基本は母鶏がこの上なく健康であること。清潔でストレスフリーな環境を整え、卵の質を決定的に左右するエサの開発に、力を注いだ。卵アレルギーの一因は飼料に混入される魚粉だと解明した研究者をスウェーデンまで訪ねてもいる。
 試行錯誤の末に編み出された特別飼料は、永田農法で栽培している緑茶やブロッコリーパウダーを加えた完全植物性だ。豊富なビタミンCとカテキンの効果で母鶏の体質を改善。その卵は味に雑味がなくて、香りがよい。健やかな味がする唯一無二の食材だ。


健菜たまごを味わい尽くす、基本料理の極め術

健菜たまごはおいしい。シンプルな基本料理ほどそれが実感できる。卵の性質を知って、その味をさらに極めよう!

卵白と卵黄は固まる温度が違う! 究極の温泉たまごは63度で1時間

卵黄は60度でねっとりし始め、65度〜70度で固まる。卵白は70度まではゲル状で、完全に固まるのは80度以上。この性質を利用して63〜64度を1時間保ち、冷水で冷ますと、濃厚な卵黄がふるふるの卵白に包まれた、究極の温泉たまごができる。

鍋の熱湯に水を注ぎながら63度にしていく。常温に戻した卵を入れ、弱火にしたり、鍋を火から下ろしたりしながら設定温度をキープし、1時間後に冷水につける。

卵白には2種類ある! ポーチドエッグは新鮮たまごで

 卵白には濃厚卵白と、古くなると増える水様卵白がある。水様卵白は湯の中では散ってしまう。湯に生卵を割り入れてつくるポーチドエッグは、濃厚卵白だけなら美しくまとまる。新鮮たまごなら、お湯に酢を加える必要もない。

古い卵は、穴空きお玉などに卵を割り入れ、水様卵白が流れ落ちるのを待ってから湯に放つとよい。

卵と出汁の黄金比率 だし巻き卵は2:1から

 卵液が固まる限界は、卵と出汁の比率が1:1の時。成功すれば、ふわりとやわらかいだし巻き卵ができるが、調理の難易度は高い。一般的には、2:1(卵4〜5個対出汁100cc程度)が黄金比率。それでもかなりジューシーな仕上がりになる。

出汁を増やしたいときは、卵液にごく少量の片栗粉を溶かすのが裏技。出汁が流れ出ずに固まりやすくなる。


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